(前号からの続き)
小椋佳さんが これまでに創った楽曲は「シクラメンのかほり」「しおさいの詩」「俺たちの旅」「愛しき日々」「夢芝居」「愛燦燦」など2000を越えますが、この中にジョージア日本語学校(アトランタ補習授業校)の校歌「はなみずきの道」も入ります。
77歳となった小椋さん、今の生活指針は「4S」。1.シンプル(毎日同じことをする)、2.スロー(ゆっくりと)、3.ステディ(一歩一歩確実に)、4.スマート(長年蓄えた知恵を生かして、「日常の当たり前」の暮らしを確かに生きることがモットーです。今の大人には子どもたちの前で「豊かな日本語のシャワー」を浴びせてほしいといいます。子どもは親や周囲を見ながら真似をして言葉を覚えていきますが、今の子どもは言葉をきちんと学ぶプロセスに欠けており、「言葉」を大切にする必要を説きます。
「小さい」と「半分」を合わせて、「小半」(こなから。これは4分の1という意味で、どんな欲もほどほどに満たすことが大事だと考えます。 小椋さんは60歳の時に紫綬褒章を断ります。これは内面化した仮面を剥ぎ取って本来の自分に戻るため、常に個であろうとする小椋さんの姿勢と無関係ではありません。組織の中で個を貫くことは難しいですが、最後まで自分で考えることの大切さを伝えます。
米国のカントリーサイドを旅した時、雑貨屋で偶然に見た言葉が忘れられないといいます。
Blessed are those who expect nothing for they shall not be disappointed.
(何も期待しない者こそ祝福される。なぜなら、彼らには失望がないから)
後ろ向きに見える言葉の中に、真実があると考えます。
ラストアルバム”もういいかい”はやり尽した歌創りに「もういいかい」と問いながら、 もう少しがんばれ、「まあだだよ」と言っています。小椋佳 著『もういいかい まあだだよ』 は学校図書に置いてありますので、機会があるときにご一読ください。
明日5日の登校日は幼稚部の卒園式を行います。来週12日は小学部6年、最後の登校日19日は中高等部の卒業式になります。 卒業以外の児童・生徒にとっても、大きな節目となる3月です。厳しい状況の中にあって分散登校で過ごした一年間、仲間や先生方と共に学んだことを、次につなげてほしいと願っています。
2022年3月4日
アトランタ補習授業校
校長 小泉敦