今、日本の子どもたちに『鬼滅の刃』というマンガが人気です。映画も好調で、社会現象となっているようです。少し面白いエピソードを見つけました。 友人の自宅前で、数人の男の子がチャンバラをしていた。 「ヒミツのマエバ!」と弟が言うと、 「ちがう、それは、キミツのヤエバや」と、兄が知ったかぶりをした。 鬼滅の刃(キメツのヤイバ)と読めるようになるまで、私も時間がかかりました。
原作の吾峠 呼世晴(ごとうげ こよはる)さん、鬼にされた妹を救うために刀剣で戦う主人公・竈門 丹治郎(かまど たんじろう)の名前も難解ですが、人気の秘訣は一体何でしょう。 原作マンガは一時入手困難になり、書架から盗まれ、後日謝罪文を付けて返却されるという「事件」もあったようです。 「鬼滅」の剣士たちがテレビやスクリーンで鬼と繰り広げる闘いのすさまじいまでの生命力と躍動感が、熱い感動をもたらしているのかもしれません。
私が子どもの頃のアニメといえば、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」などでしたが、当時はマンガに対する社会的評価は高くなかったように思います。敵を殺したりする、生命軽視への懸念もあったのでしょうか。 「鬼滅」では人に害をなす鬼を「鬼殺隊」が殺し、時に自らも戦場に散りますが、 今は子どもだけでなく大人も虜になっています。その背景には困難に陥っている現代の世相が反映しているように思えます。 「老いるからこそ、死ぬからこそ、たまらなく愛おしく、尊いのだ」は、ある隊士が人間について語った言葉です。 「鬼滅」の鬼は元々人間で、早く滅ぼしてほしいと願う鬼も元々は人間です。 では、本当の「悪」はいったいどこにいるのでしょう・・。 今を生きる人の想像力を試していることが、人気の秘訣のような気がします。 来月には最終巻(23巻)が発行されるようで、楽しみですね。 ところで、主人公の竈門 丹治郎の「竈」の漢字、何画か分かりますか? 今週は感謝際(Thanksgiving Day サンクスギビングデー)のため、補習校の授業も休みです。皆さま、ゆっくりとお過ごしください。
2020年11月27日
ジョージア日本語学校
校 長 小 泉 敦