5月8日(土)の小学2.3年の登校日、心和む光景に出会いました。 学校では図書当番の方にもお手伝いいただき、本の貸し出しが始まりました。図書室へ行ってみると、すでに借りた子どもたちは廊下の前に坐って静かに本に見入っていました。多くの子どもはこの日のために用意した小袋に本を入れています。 「おもしろい?」と声を掛けると、「うん」と小さくうなずく子どもはいい顔です。一年以上待ちわびた瞬間だったのでしょう。 図書室の中に入ってみました。間隔を置いて受付前に並ぶ子ども、先生と一緒に本を探している子ども、意中の本に出合い立ち読みしているこども・・。静かな図書室の中に「学びの風」がありました。 「心」をはぐくみ、好奇心を育てる手立てとして、本に勝るものはありません。本を通じた出合いが生まれることを願っています。 とはいうものの、私は小さい頃から本は苦手でした。どちらかというアウトドア派で、仲間とスポーツを楽しむことが好きでした。学校でも“国語”は苦手教科で、特に「〇〇以内で答えなさい」という設問に馴染めずに過ごしました。 今も読書は決して多くありませんが、高校生の頃から図書室(館)で過ごす時間はとても好きです。受験期やテスト期間はよく利用したし、今でも資料を調べるために資料館や博物館などをよく利用します。本(書物)の息づかいを感じる空間は、好きです。 旅に出ると、その地域の図書館を訪ねることがあります。最近は創意が生かされた図書施設が多くなりました。岡山県高梁市はJR駅に隣接してあり、列車待ちの高校生がたくさんいました。岩手県盛岡市は新幹線駅近くに利便性を重視した近代的な県立図書館を建設し、鳥取県立図書館や秋田県立公文書館は利用者目線の工夫があります。台湾・台北の図書館は自然環境に合った佇まいでした。 私の住む街にも図書館があります。歴史みらいパークの一角に青森杉と赤松を素材に建てられた空間は、お気に入りの場所です。 個人的に関わっている岩手県遠野市ではこの夏、建築家の安藤忠雄さんが支援する「こども本の森・遠野」を開館します。これは築120年の古民家を改築したもので、蔵書は全国からの寄付で準備して、「子どもたちが森の中を探検するような、自由でわくわくとした気持ちで本と出合い、本を楽しむ」、そんな空間づくりを目指しています。 私はここ数ヶ月、アトランタを舞台にした小説『風と共に去りぬ』(新潮文庫)を読んでいます。 ようやく今、最終の5巻目に入りました。 2021年5月14日 アトランタ補習授業校 校 長 小 泉 敦
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See All約3年間、登校日に合わせて発行してきたハナミズキが最終号(通算111号)となります。本来であれば、41(授業日数)×3(年)=123号となるはずでした。第1号の発行は2020年9月6日、数字にはこの間のコロナ感染に翻弄された状況が反映されています。 私は86年夏、父の死をきっかけに京都での学生生活を終えて、青森県で中学校社会科教員となりました。その後、インドネシア・ジャカルタ日本人学校3年、香港日
今年も3・11が巡ってきます。大きな悲しみに包まれた東日本大震災の発生は今年と同じ“うさぎ年”、あれから12年が経ちます。「行って来ます、行ってらっしゃい」、「ただいま、おかえり」のある、日常の有り難さを思います。 昨年の秋以降、小学部5年以上の教室へうかがい出前授業をしました。一期一会の出会いを大切に、短い時間でしたが、子どもたちと向き合いました。 自己紹介したあとに、30歳で『アンネの日記』を
弥生3月に入りました。思い起こせば3年前、この時期からコロナ感染が広がり、日本の学校では登校自粛、卒業式の延期・中止が議論されました。私は保護者の合意をもとに午前授業を続けて、予定通り卒業式・修了式を行いました。現職校長として最後でしたので、安堵したことを覚えています。 その後、4月初旬の渡米がキャンセルとなり、青森―アトランタをつなぎオンラインでミーティングをしましたが、歯がゆい思いでした。よう
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